そこで、物理の立場からブーメランの挙動を検証してみましょう。私は物理という学科を
難解で縁遠い教科と思ってきましたが、ブーメランと出会う事により決してそうではないこ
とに気付きました。
ここでは下記の順番に従って物理という目からブーメランの挙動を見ていきます。これは、
ブーメランをスポーツとしてあるいはゲームとして楽しむ場合も役立つ知識となるでしょう。
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−学生時代に出会う−物理(Physics)-という分野には自然科学(Nature-Science)の中でも、とても難解で地味な学問と言うイメージがありま
した。学生時代にであう物理の実験も化学(Chemistry)の実験のように、パッと色が変わったり、匂いが変わったり、爆発といった派手さ(私はそれ
で化学に進みました)もなく、数値の計算や公式の暗記など数学の延長とさえ思わせるところがありますね。一方で最近の物理の話題は、超大型の粒子加速器、
電波望遠鏡、統一場理論、ビッグバン、クォークといった“とてつもない”スケールの話で、『いったい私達の生活と何のかかわりがあるのだろうか?』と思わ
れる物ばかりです。
この物理、観察→推論→(実験)検証・確認→(証明)理論の確立と進む他の自然科学とまったく同じというより、むしろ最も自然科学的な学問だと思いま
す。
子供達が物理に最初にであうころは、アルキメデスの金の王冠、ガリレオのピサの斜塔やニュートンのリンゴなど逸話も、実験もおもしろく、登場する数式も
簡単で楽しい分野のひとつです。ところが高学年になり、磁場、電界、モーメントや、角運動量ベクトルなど抽象的な単語が飛び交いはじめ、逸話も実験も、そして計算も難解に
なってくると、いつしか多くの人にとって嫌いな分野に仲間入りしてしまいます。 |
(理科)自然科学を学ぶのは、科学の手法を身につけるのが目的です。ただ単に知識を詰め込むの
でもなく、計算技術を身につけるためでもありません。生じた疑問を推論、実験、計算で確かめて一つずつ解決し、真実は何かを見極めるて行く。そのなかで科
学的手法を身につけ、科学する楽しみを知る事がとても重要です。科学には『知識』も
『計算能力』も必要条件ではないのです。(これでメシを食うことになれば必要ですがね)それ
で、『めしを食っている人』は別にして、個人として科学を楽しむにもこれらは必要ありません。亀の甲が覚えられなかった人、運動方程式が解けなかった人、
決して悲観することはありません。せいぜいブーメランで科学する楽しみを味わってください。
また、理科を指導する立場にある人にも、知識や計算
技術を詰め込むのではなく、科学の楽しさを教えていただきたいと願っています。覚えられない、計算が苦手で『科学嫌い』にしないよう念願する次第です。
学問は楽しい物、それを教えるのが大人の私たちの使命だと思います。その中から将来、これで身をたて、国家や社会に貢献できる子供達が育って行くのでは
ないのでしょうか? |
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ブーメランの翼はあたかも飛行機の翼のような形を
しています。この形はブーメランを空中に支える重要
な働きはもちろんブーメランの挙動を決定してしてい
ます。 |
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なぜ向きを変えてて元に戻ってくるのでしょうか?
もっとも不思議な部分です。 |
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一連の空の旅の最初と最後では、ブーメランの速度も
回転数もずいぶんと違います。なのになぜほとんど水平
飛行をするのでしょうか? |
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コマのようないかにも回りそうな形とは縁遠い形なの
に安定して回りつづけます。これはなぜでしょう? |
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流体や剛体の回転という物理学から、よりよく
飛ぶブーメランについて考察してみましょう。 |