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そもそも刃物はなぜ切れるのか、鋏はどういう仕組みで切れるのか、鋏の構造、そして鋏の選び方から使い方までを説明します。
この文書はプレゼンテーション(PDFファイル)で使用するための原稿の一部を簡単にまとめたものです。通常のものは「鋏はなぜ切れるか?」です。
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そもそも刃物はなぜ切れるのか、鋏はどういう仕組みで切れるのか、鋏の構造、そして鋏の選び方から使い方までを説明します。
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鉄は、地殻内に酸素、珪素、アルミについで多い元素で、地球全体ではもっとも多い元素であり、しかも現代文明を支えるきわめて重要な元素でありながら、学校教育では詳しく教えられることはない。
学校ではほとんど習わない鉄の不思議な性質について簡単に説明する。
原子量:55.847 融点:1808K(1535℃) 沸点:3023K(2750℃) 密度:3023Kg/m コバルト、ニッケルとともに珍しい強磁性。
私たちが知っている鉄の性質の多くは鋼(鉄と主に炭素などの合金)の性質である。
鉄は、地球全体で最も多く、また現代文明を支える極めて重要な元素でありながら、(しかも人体にとっては必須元素)。
しかし、学生時代に鉄について学ぶ機会は異常なほど少ない。プラスチックについても同じような状況で塩ビとポリエチレンの2大プラスチックの区別すらできない人のなんと多いことか。
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鉄は炭素と相性がよく、私たちが鉄だと思っているものは鉄と他の元素(主に炭素)との合金の性質である。
鉄は炭素と極めて相性がよく、普段目にする鉄製品の鉄には必ず炭素が含まれているため私たちが鉄の性質だと思っているものは本当は鉄と炭素の合金の性質だったりする。純粋な鉄はほとんど錆びないし、展性も極めてよい。下の図は鉄と炭素の割合によってその物質がどのような構造をとるかの表であるが、これはさらに高温状態からどのように冷却されるかによっても大きくその姿を変える。その性質の変化をわれわれは利用している。
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代表的な刃物用の鋼は、硬度と結晶構造を刃物に必要なものにするため焼入れをしたのち、粘りを持たせるため焼き戻し処理を行う。
実際の鋼の熱処理は、この方法だけでなくその組成によってまた用途によって、まったく異なる方法が取られる。ここに示した方法は一般的な鋼材に対する方法の一例に過ぎない。
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鋏は、2枚の刃の接触する面はすいてあって、かつ刃全体も内側に曲がっていてただ一点で接触するように精密に作られています。
鋏は、極めて精密に作られている機械といっても良い。研ぎ方を間違えたり落として変形させると、まったく切れなくなってしまいます。
「素人が鋏は研ぐな!」と言われるのは、この刃の裏の「すき」や刃の曲げ方などに用途や素材に合わせた高度な知識と技能を必要とするからで、刃先だけ研ぐ程度なら「鋏の構造に対する造詣があれば」できなくもないかもしれません。
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鋏の代表的な鋏である、洋裁バサミ(東鋏)の全体図。これは右手用!!
これは、東鋏(東京裁鋏)の代表である庄三郎の右手用240mmです。刃の重ね合わせ方や柄の構造をよく見ておくこと。
これは左手用の鋏
なんとなく異様な感じを受けるのは無意識のうちに普段見慣れている形と異なるから。
これは足だけ左の鋏
これが曲者で、あとで説明するようによほどのことがない限り使わないほうが良い。
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このような構造の鋏で紙などを切る場合、右手用の鋏を右手で使う場合は、力を図のように入れないと切れない。
鋏で紙などを切るときは、「○○と鋏は使いよう」という言葉があるように、意外と複雑な力の加え方をしています。2枚の刃をとめているネジを緩めて使ってみるとよくわかります。
この右手用の鋏を左手で使うためには、力の加え方がまったく逆になるため右図のような持ち方をしなければなりません。
そのため、右手で右用の鋏を使っている人が鋏を左に持ち替えたときには、人は無意識に右手の力の加え方をそのまま左手で行おうとするから切りにくいのです。
逆に左利きの人が左手で右用の鋏を長く使っていた場合に、その鋏は本来右手で使うものだと言われて、いざ右手で使おうとしても使えません。それどころか、本来の左手用の鋏を渡されても使えないのです。
この詳しい知識がないと、『左利きの子に右手で鋏を使わせるのはかわいそう』というトンデモナイお節介をすることになってしまいます。そんな(右利きな)人は実際に左手用の鋏を左手で使ってみると、あまりに簡単なことに驚くでしょう。
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右手用の鋏と、左手用の鋏はまったく異なり代用はできません。
この二つの鋏は、右手用の鋏と正式な左手用の鋏を比べたものです。巷には本体は右用と同じで柄だけ左手用にしたものや、左右兼用と銘打った粗悪品がありますから注意が必要です。(左右兼用の鋏はありえません!!)そんな鋏は決して左利きの子供には渡さないように・・
これは左手用の鋏
なんとなく異様な感じを受けるのは無意識のうちに普段見慣れている形と異なるから。
これは足だけ左の鋏
これが曲者で、あとで説明するようによほどのことがない限り使わないほうが良い。
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実際に使ってみるとわかりますが、右手用の鋏を左手で使うと力の入れ方も逆で、切っているところが見えない。想像以上に難しい。左利きの子供に右手用の鋏(本体は右手用なのに足だけ左手用も含む)を使わせるのは間違いです。
よく右手用の鋏を左手で使ってみて「なるほど利き腕でないほうで鋏を使うのは難しいのだ」とへんに納得している、とんでもない大人がいますが・・それは右手用の鋏を左手で使うから難しいのであって、左手用の鋏を左手で使うのなら、たとえ右利きの人でも難しくはありません。鋏は元々使うのが難しい道具なので初めは使えなくて当たり前です。左利きの子であっても右用の鋏を右手で自信を持って使わせましょう。
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(本体が)右手用の鋏を左手で使うと、「切っているところが見えない。」「力の加え方が逆なため切りにくい」「形状によると手が痛い」などの問題がありますが、一番の問題は、将来、正式な左手用鋏を使う事が難しくなる。ことです。
鋏でものを切る作業は利き手だけの仕事ではなく両手の協調作業ですから、右利きの人が左手用の鋏を左手で使うのが難しくないように、左利きの人が『右手用の鋏を右手で使う』ことは難しいことではありません。
障害があって、左手しか使えないならともかく右手が使えるなら右手用の鋏を右手で使う練習をしましょう。意外に思われるかもしれませんが、先で左手用の鋏を使うようになっても断然楽です。
この世に出回っている鋏の大部分は、右手用で、本当の左手用は極めて少ないのです。それは「鋏は精密機械」で説明したように、つくるのが難しい、特に普及品の大量生産の鋏を作っている会社で、わずかしか需要のない左手用をつくるための設備を設けることは無理だからです。そのため、足の部分だけ左手用にした「まがいもの」はあっても、本当の左手用が市場に出回らないのです。もちろんゼロというわけではなく良心的な会社では、数も種類も少ないですが、きちんとした左手用の鋏を生産しています。
しかし、右手用の鋏に比較するとどうしても価格は高めになってしまいます。
さらに困ったことに、「まがい物」の「足だけ左の鋏」を使って慣れてしまっても、大人になって仕事などで鋏を使う機会が増えると、右手用の刃では切りにくいし手も傷めてしまいます。実際に「足だけ左の鋏」の足に布をぐるぐる巻いて、文字通り血がにじむような苦労をして鋏を使っている人を見かけます。
そんな人に「本当の左手用の鋏」を渡しても、長年の癖は抜けず結局使いこなすことができない人をたくさん見てきました。
ところが、右手用の鋏を右手でしか使った事のない、普通の右利きの人に左手用の鋏を左手で使わせて見ると、初めは戸惑いますがすぐに慣れて使えるようになるのです。これは、左利きの子供が「右手用の鋏」を右手で使うことが決して難しくないことを教えてくれているのです。
「馬鹿と鋏は使いよう」と言われるように、鋏はどちらの手で使おうと最初は難しいものです。それと「左利きの子に右手用の鋏を使わせる」という事はまったく別問題です。鋏は利き手だけで使うものではなく、切るものを持った反対の手の動かし方も極めて重要でその重要さは利き手と変わりません。鋏には右利き用・左利き用はありません。あるのは右手用と左手用です。
元来、左利きの子は器用な子が多いものです。右手で右手用の鋏を使えるようになっておくと、右利きの子以上に上手に使いこなせるようになるでしょうし、将来左手用の鋏を手にしても問題なく使えるようになるでしょう。
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個人的には無理に矯正する必要はないと思いますが、それと(右手用に作られた)鋏をどちらの手で使うかはまったく別の問題です。
(右手用に作られた)鋏を左手で使わせるのは、左利きだから「右手用の手袋を左手に、左手用の手袋を右手にはめる」これとまったく同じ意味です。手袋の左右と同じように、右用につくられた道具は右手で使うほうが良いというだけです。そうすれば、将来左手用の道具も使えるからです。→「どう指導すればよいか。頭の固い人にどう説明するか?」
左右の区別のない箸や鉛筆、バットは使いやすいほうの手で使えばよい。
「馬鹿と鋏は使いよう」と言われるように、「鋏を使うということ」は最初は難しいものです。ただご存知のように、鋏で物を切るという動作は一方の手だけで行うものではないので、最初の要領さえ手にすれば、利き手で使おうと利き手でなかろうと技術の習得に大差はありません。ただし、変な癖をつれる前なら
右利きの人に左手用の鋏を左手で使ってもらうとわかりますが、その手にあった鋏を使うことは、鋏の使い方が身についていれば利き腕がどちらかに関わらず難しいことではありません。大事なことはその鋏の目的としているほうの手で鋏を使うことです。なら、入手しやすい右手用の鋏を右手で使う方が良いのです。
日本人は右利きが圧倒的に多いという報告があります。それは幼少期に右手が使えるように強制されるからと言われています。その理由は親の「かっこ悪い」という意識のためでしょうが、それ以上に日本の多くの道具が右手で使うようにつくられている原因が多いのではないかと思います。
身の回りを見ても、出刃や刺身庖丁に代表される片刃の庖丁、切り出しナイフ、鋏はその代表的なものでしょう。「魚を三枚に卸す」なんて作業は右用の出刃包丁を左手で使っては不可能です。
「庖丁入門」柴田書店より
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