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左手用鋏(ハサミ)、左利きと鋏

このページの概要

このページでは、「左手で鋏を使われている方」、「左利きのお子さんがいらっしゃる方」への正しい鋏の選び方を説明しています。

左利きを直すべきだとかという話題では決してありません。

右手用左手用鋏

まず、実際の洋裁鋏(東鋏)で眺めてみましょう。



右手用(標準型) 総左(左利き用)

足左

写真ではちょっと判りにくいのですが、総左の鋏は、普通の鋏を鏡で映したように全くの鏡像関係になっています。足は、普通の鋏に総左と同じ足がつけてあります。


鋏の仕組みをよく見てみよう。(**と鋏は使いよう)

何気なく使っている鋏のしくみと実際に切るところを詳しく見てみましょう。

洋裁鋏の刃は刃全体が内側に反る(赤い線)と同時に刃自体も内側がえぐられ(青い線)て、布を切断する部分は1点のみが強く接触するように作られています。

この鋏を使うときは、この点が強く押し付けられるように右手用の鋏の場合、親指の付け根で鋏の足を左向きに、他の指は逆方向、引き寄せる方向に力を加えて使います。そのために柄の部分は力を加えても痛くないように独特の形状をしています。

刃があっている点と作用点 鋏に力を加える位置と方向

力の加え方が、正しい場合力の加え方が、間違っている場合

右手用の鋏を左手で使うと・・

では、この右手用の鋏を左手で使うと、どうなるでしょう。右手用の鋏は前のページで説明したように図の方向に力を加えなければなりませんが、今度は左手ですから、下の図のような持ち方になってしまいます。

刃があっている点と作用点 鋏に力を加える位置と方向 【比較】右手で使う場合

柄の形とは異なる向きに力を加えないと切ることができない。

本来の右手で使うとこうなる。

右の図が右手用の鋏を本来の右手で使用している場合です。中央の図は、右手用の鋏を左手で使用している状態です。ふたつを比較すると指の曲げ方も異なっていることから、柄の形に反した力の加え方がされていることがわかります。

鋏の足には、あくまで本来の手で使用した場に手か痛くないように曲線でできています。その鋏を左手で使うと角があたり、とても長時間作業ができる状態ではありません。


切っているところが見えない

もう1点、重要な問題があります。鋏が実際に切っている部分が上刃の陰に隠れて見えないのです。


右用に鋏を左手で使っている場合、切っている線が見えない。


右手で右手用の鋏を使っていると気が付かないかも・・


右手用鋏を左手で使う問題点

右手用の鋏を左手で使用する問題点をまとめると

力の加え方が逆
右手で使いやすいように作られている右手用の鋏を左手で使うのは難しい。もし左手用の鋏があれば、ぜひ右手手で使ってみてください。
手が痛く長時間作業は無理
右手用の鋏を左手で使用する悪癖がついてしまう。将来、正式な左手用鋏を使う必要がでたとき、すでについてしまった癖が直せない。将来、鋏を使う道に進んだ場合、必ず左手用の鋏が必要になりますが、そのとき子供の頃から染み付いた癖は容易に直りません。
刃の左右が逆
実際に切っている部分が刃の影に隠れて見えないため、精密な作業はできません。
柄が左右兼用なら?

でも、二枚の刃の重ね方自体が右手用の鋏と同じなら、柄がどのような形状であれ、使いにくいことが分かると思います。


左利きの子に鋏を左手で使わせるのは本当にやさしいのか?

小さな子供に、何の説明もせずに鋏を渡すと自分が使いやすいほうの手で使います。右利きの子は右手で、左利きの子は左手で使う子が多いですが必ずしも利き手には関係ないようです。実際に子供用の鋏の多くはどちらの手で使っても、紙なら「とりあえずは」切ることはできます。

ここで大事なことは、右手用の鋏を左手で使うと、力の加え方や、見えやすいか

若いうちならそれでも努力すれば直せますが、歳をとるにつれこんな基礎的な癖は直りません。

本当に左手用の鋏が必要なのか?

刃を少し開いた状態での3種類の鋏の画像です。

右手用・左手用の洋裁鋏の写真
左右 刃を閉じた形 刃を少し開いて
柄を向かって右 柄を向かって左
右手用
左手用
足左

左右兼用鋏は嘘、足だけ左は特殊

子供用に左右兼用と銘打った鋏が販売されていますが、ここまで説明してきたように、そもそも刃の部分の形や組み合わせ方が違うので、左右兼用の鋏なんて作れないはずです。

下の写真は、いずれも工作・手芸用の鋏で、左端の物を除き、右手でも左手でも使えそうですが刃の形を見ると右手用だという事が判ります。

足だけ左はどんな用途

では、足だけ左の鋏は何のためにあるのでしょう。

それはただひとつ、高齢者で長い間の癖を直すことができない人や直す気のない人だけのためのものです。言い換えると、本来の左手用鋏を使えなくなってしまった人に限られます。

切り抜きなど鋏を持たない方の手での作業が重要である事を考えると、「左利き」は、右手用の鋏を左手で使わなければならない理由とは言い難いと思います。

左手で右手用の鋏を使う癖をつけてしまうと、正式な左手用の鋏が使えなくなる事を考えると、右手用の鋏を左手で使用したり、足左タイプの物を使う事は良くない事が判ります。


左手で左手用の鋏を使用。


右手で右手用の鋏を使用。

右手用の鋏を右手で使用する。

左手で左手用の鋏を使用

では左利きの人は、どんな鋏をどのように使えば良いのでしょうか?。

次の選択肢があります。すなわち

ところが、このいずれも問題があります。

左手用の鋏を左手でつかう
この場合、左手用の鋏は種類が限られています。比較的高級な部類の洋裁鋏と、特別に左手用に作られたものしか市販されていません。そのため、通常の鋏より高価(数割増しから倍)という現実です。
自分以外の鋏が使えない。いつも自分専用の鋏を持っていないと鋏が使えない。これは意外と深刻な問題です。
右手用の鋏を右手で使用する
早い段階から始めないと苦労する。

本当に左利きの人は右手用の鋏が使えるのか?

ややこしいので注意して読んでください。

これは、「右利きの人に、左手用の鋏を渡して左手で使うように指示する。」ことで検証できます。これはまさに「左利きの人に、右手用の鋏を渡して右手で使うように指示する。」と全く同じことをしているのです。これが使いにくいなら、「左利きの人は右手で鋏を使えない」は正しいのですが、実際には多くの人が何の抵抗もなく、驚くほど簡単に使えてしまいます。

一方、「左手用の鋏を右利きの人に右手で使え!!」というのと同じことで全く使えない。

これは、「左利きの子に右手用鋏を使わせるのはかわいそう」というのが大きな誤解であり、トンデモなく間違った認識であることを示しています。

左利きの子に、「左利きの子に右手用鋏を左手で使わせる」のは、「君は左利きだから、右手用のグローブを左手にはめて使え!!」と同じくらいかわいそうなことなのです。


左利きの鋏の選び方

実際に鋏を選択するにはどうしたら良いでしょうか?

年齢・用途 理由 選択
子供さん
  • ☆右手用の鋏を、右手で使う事を習得する。
  • 右手用を右手で使う事に慣れておく事
  • 特に、右手用の鋏を左手で無理をして使う事を覚えてしまうと、将来正式な左手用を使う事ができなくなります。
  • 鋏は利き手でないほうで使用しても難しい物ではありません。
  • 切り抜きなど細かい作業には鋏を持っていない手の運びが重要になります。「利き手」にこだわらなくても良い。
右手用の鋏(右手で使用)

ズバリ、癖を直せない人

  • ☆右手用の鋏を左手で使う事に慣れてしまった高齢の人その中でも
    • 鋏を使う機会が少ない人
    • 高齢者などでいまさら癖を直す事ができない人
    • 右手用を長く使っていて、これからも使い続けるが右手用を左手で使っていて左手が痛む人
    の人に限られます。そうでない人は
    • 左手で左手用鋏を使えるように練習する。
    • 右手で右手用の鋏を使う練習をする。
    が良いでしょう。でも癖を直すのに苦労しますよ。
足左の鋏
洋裁など鋏を頻繁に使用する人
  • ☆職業として裁縫をする人
  • ☆障害などで右手を使用できなくなった人で、裁縫をする人・・速やかに左手用の鋏に慣れる事
  • ☆左手用の鋏を使いたい場合で、左手で右手用の鋏を使用した事のない人
  • 左手用の鋏を使用して慣れる事、今まで右手用を左手で使用していた人は慣れるのが大変です。
総左の鋏

結論

よほど特殊な理由や、癖を直す気力もない人以外は利き腕に関わらず右手用の鋏を使うようにしましょう。

更新履歴

First Published
1998-04-28
Last Modified
2010-01-01 18:14:46 (JST)
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